現在放送中の韓国のオーディションサバイバル番組、「PEAK TIME」をご存知ですか?
今までオーディション番組をリアルタイムで追うことってあまりしてなかったんですが、この番組は時差なく追って楽しく見ています。今K-POP界隈で話題なのはボイプラだと思うんだけれども、PEAK TIME、めっちゃおもしろいのです!
これまでのオーディション番組と違うところは、
- 個人戦ではなくチーム戦
- 参加するのはすでにデビュー済みの、しかし知名度の低いボーイズグループ
というところでしょうか。
参加者たちは本来のグループ名を名乗れず、それぞれに(「ピークタイム」にちなんで)1時から24時の時刻を冠したチーム名で出演しているのですが、すでにネットでは彼らの本当のグループ名が出回ってるんですよね。2グループくらいしか知らなかったな…
今まで存じ上げなかった方々の高い実力にも驚くし、彼らが当初描いていたような活動ができずにいる、それぞれの事情(コロナ禍、事務所の都合、解散、メンバーの引退など)にも胸を締めつけられます。改めて、K-POPという「産業」の中で生き残ることの熾烈さを思い知らされる。同時に、厳しい基準を持つことでK-POPが一定のクオリティを保っていることも、番組を通じてよく理解できます。
10年来のK-POPファンとして胸熱だったのは「大国男児」の参加!!!懐かしい!あれですよ、2010年前後のミュージックバンクとかで、出番が最初の方の新人グループだった子たちですよ!すっかり素敵な大人になって…(涙)
この曲好きだった。衣装やセットに時代を感じるね。
しかも彼ら、実力もかなり高く、毎回安定したパフォーマンスを見せてくれています。センターであどけない表情をしていたカラムが、こんなに歌がうまかったのか!と驚くかぎり。そして、キャリアの長さからくるのであろう落ち着いたスタンスは、他の若いグループにも良い影響を与えているように見えます。まぁ本当に立派になって…(涙)がんばって!!!
また、審査員も10年以上活動するベテランアイドルが多く、その世代のファンからすると、HIGHLIGHT(BEAST)のギグァンとINFINITEのソンギュが一緒に立ち上がってキャッキャしてるのとか、もうたまらんのですかわいい(笑)。
パク・ジェボムは時々おもしろいこと言いながらも(笑)2PMでの経験と、現在のプロデューサーとしての視点から後輩たちを冷静に、的確に見守っている気がします。何よりSONEとして、ソシのティファニーが今こうして後輩たちの背中を押す場所にいることに、静かに感動します。
選曲がすばらしかった2ラウンドダンスマッチを振り返る
すでに番組は2ラウンドまで進んでいまして、第6回(現時点の最新回)放送のダンスマッチの選曲がすばらしかった。ラップ、ボーカル、ダンスに分かれてのパフォーマンスでしたが、ダンスユニット対決はどのチームもクオリティの高いものでした。
個人的に良かったのが、クールさと熱さを兼ね備えたグループA/ダンスユニットのパフォーマンス。課題曲はアメリカのシンガーソングライターJohnny Stimsonの「Gimme Gimme」。単純にまず曲がめっちゃ好みで、熱を持った歌声にクールなバックトラック、抑制の効いた感じが好きですねー。
今回は原曲にオリジナルでギターのブレイクを入れたのかな?16人での迫力あるフォーメーション、見応えあった!
1位をとったグループCもかっこよかった。もうジョンオプにしか目がいかないですけれども(笑)ソリムくんの成長もすばらしかったです。こちらの課題曲はデンマークのポップシンガーChristopherの「Bad」。音数の絞られたトラックの作り自体がとてもセクシーです。楽曲もダンスも、後半にかけて熱量が高まっていく感じがいい!
ここから動画直接貼りませんが、各グループ振り返り。パワフルなパフォーマンスが最高だったグループBは、SNSでも人気のバンド、AJRの「Bang!」が課題曲。この曲もかっこいい!音が少なくなる部分も多々あるような、かなり抑揚の効いた曲でしたね。キメの「Bang! Bang! Bang!」の部分始め、静から動への感情の振り切りがすばらしかった。
グループDの課題曲はイギリスのガールグループ、Little Mixの「Power」。ガールパワーを体現したこの曲は4人4様のパワフルな歌声が最高ですが、音数少なめなトラックと対照的に歌は終始熱量が高いので、ダンスのテンションを維持するのが難しそうだなーと。実際みんな息切れてたもんね…本当にすごい。
どの曲もそうですが、K-POPのダイナミックさとはまた違う、静と動のメリハリの効いた感じの曲をあえて採用したのかな。ゆえに、参加者たちのパフォーマンス能力がダイレクトに現れる気がしたな。
あと、あまりにそれぞれのグループのカラーに合った選曲だったので、自分たちで自由に選んだんだっけ?と思ったくらいなんですが、それだけみんなの表現力が高いということですよね。やはりデビューしているという事実は大きいんだなと。
パフォーマンスするみんなの頑張りはもちろんだけども、彼らをなんとかフックアップしようという、制作側、パフォーマンスディレクター陣の意図というか頑張り(えらそうですが)が、こういう選曲のすばらしさにも現れている気がして本当に感嘆します。これがプロの仕事だ。
そうそう、ラップの課題曲にSupreme Team「Dang Dang Dang」が!この選曲にも唸った!私はとにかく「Step Up」が好きすぎて聴いてほしいから貼っておきます。
あとIUの「My Sea」は今後オーディション番組の定番曲になりそうですね。高音パート担当メンバーの見せ所。
「元アイドル」の経歴を持った人たちのセカンドキャリアが、幸せなものでありますように
番組の中では、初回〜第2回までの放送ですでに脱落してしまったグループもいます。その中の1組、BTL(チーム10時)のエピソードが印象に残りました。
BTLはすでに解散してしまっていて、今回参加した4人のメンバーもすでに別の人生を歩んでいたのですが、この番組でもう一度自分たちの名前を知らせたいと応募したとのこと。ステージでは審査員のソンギュがメンバーであるINFINITEの「BTD(Before The Dawn)」を披露したものの、実力不足で脱落が決定。
そこで彼らが語ったのは、「アイドルを目指してがんばっていたのなら、どこへ行っても、何をしたとしてもきっとうまくいく」ということ、そして「昔アイドルだった人たちも、別の場所でがんばっているんだと知ってくれたら」ということでした。
中でも、中途加入メンバーとしてデビューしながら思ったような活動ができず、「11年間を練習したも同然」「この舞台が僕のデビューステージで、最後のステージ」と語ったオ・ヨンジュンさんの話には本当に胸を打たれました。彼には全ての参加者・審査員から大きな拍手が。
最初の方にも書いたように、この業界の中で生き残るのは熾烈な競争を戦うも同然で、そこには様々な要素も絡み合うと思います。メンバー、事務所、事務所のリソース、そして今回のような、予期せぬ世界の情勢など。そんな中でみんな夢に向かってがんばっているけれども、勝者がいれば必ず敗者が生まれてしまう、それが競争で。
だからこそ大切なのは、音楽やアイドルから離れるという選択をした後の人生のことですよね。
BTLは、アイドルという舞台から降りた人が、夢は終わっても、それでもがんばって生きているよということを背中で示し、現在進行形で体現してくれているんですよね。それは、今は華やかな世界にいるけれども、日々不安と戦っている全てのアイドルにとって、こんな生き方もあるんだよ、という一つのロールモデルなんじゃないかと思う。そういう生き方をしている人を知っているというだけで、もしアイドルを辞めても…という想像がしやすくなる。人生の選択肢が増えるということじゃないかと。
ずっと活躍してほしいのがファンの本心なのは言うまでもないけど、やはりそうはいかないとも思うんです、いろんな事情があるから。今後恐らく、「元アイドル」の経歴を持った人たちが、社会に急速に増えていくことも予想される。
その時に、彼らのセカンドキャリアがやはり幸せなものであってほしいというのは、全てのファンが願うことだと思うんですよね。
今回のBTLの挑戦は、そんな「元アイドル」の方々の、その後の人生を考えるきっかけを与えてくれた気がします。
今BMSGで「MISSION×2」というオーディションプログラムが配信中ですが、その中でSKY-HI社長が、プロになることや職業にすることだけが幸せな、そして音楽を続ける道というわけではないことは覚えておいてほしい、ということを言ってました。
本当にその通りで、プロにならなくても、辞めてしまっても音楽は続けることができるし、ある種のプレッシャーなどから解放された生活の中で奏でる音楽も、それはまたすばらしいものに違いない。実際、私のようにアマチュアでバンドを楽しんでいる人たちもたくさんいるし。
そしてそんな、プロフェッショナルの舞台とは違う場所で音楽を鳴らし続ける人たちがいることが、日本の音楽の層、音楽という文化そのものをさらに厚くするんだとも思うんです。
恐らく韓国も日本と同じような、そういうフェーズに来ているのかもしれない。メジャーになることだけが「幸せ」ではなくて、社会の中で、生活の中で、自分のペースで音楽活動をするようなアーティストがたくさん現れてこそ、「文化」としてより一層成熟するんだろうな、というふうに思います。
もうね、とにかく全てのアイドル、元アイドルに幸あれと願うばかりよ!がんばれみんな!そんなPEAK TIME、今ならABEMAで無料で見られます(急に宣伝みたいになる)。ぜひ!