NewJeansが話題になりまくっている中、若干遅れ気味ですがやはり思ったことがあるので書いておきたいなと。思わぬ部分にまで思考が巡って長くなっちゃいました!
最初に言っておきたいんですが、
「Attention」最高じゃない???
基本的に言いたいことの全ては↑です。最近「Hype Boy」も病みつきになってきているんですが。あの、多分TLCとかSPEEDが好きだった全人類は、「Attention」のイントロのシャララララ〜っていうチャイム?で泣いちゃうと思うんですよね。
最初にルセラの話をする
LE SSERAFIMが出てきた時は、IVEよりもやや既視感のある音楽性(いい意味)と、「私は恐れない」という強いコンセプト、そしてIZ*ONEからその行き先がずっと気になっていた宮脇咲良さんが、「LE SSERAFIMのSAKURA」に完全に進化した姿にとても感銘を受けて、いやー、やっぱりHYBEすごいわ〜〜〜!なんて感想だったんですよね。「Fearless」だけじゃなく、「Blue Flame」の完成度と音楽的アプローチ、アルバム全体のバランスも素晴らしいと思って、実際多くのファンの心をつかんでいるし。
IVEとLE SSERAFIMは、IZ*ONE出身メンバーがいることを置いておいても、メンバーの個性がはっきりと出るグループであると思っています。Kep1erもかな。特にルセラは、ユンジンとチェウォンという二人のヴォーカルがグループのカラーを担っている部分は大きい。
(PRODUCE48からヴォーカルにおいては一番だと思ってた)ユンジンの太くエモーショナルな歌声と、IZ*ONE活動後期から「強さを表現する」ことにおいて徐々に覚醒した(と勝手に思ってる)チェウォンの、キュートながらも芯の強さを秘めた歌声は、自分の音楽的嗜好とも相まって、ここ最近デビューしたグループの中ではやはり頭一つ抜け出て好きなんですよね。(カズハちゃんのクールなラップも、ルセラの大きなアイデンティティになるのでは?と期待してる)
音楽性ファーストのコンセプト(だと思う)
が、NewJeansにおいては、違う意味で「強い」から、すごいな〜と。もうこれ絶対狙ってやってると思うから、ミンヒジンさんすげ〜〜〜!!!となるんですが。
デビューしたばかりのグループで、デビュー前から超有名なメンバーもいないということが大前提ですが、やっぱりまだ、メンバーの強い個性というものがしっかり浮き出てはいない。みんな髪色も似ていて、ロングヘアで。でもこれは恐らく「あえて」やっていますよね。
そして、だからこそ特異な音楽性が非常に際立っています。人よりもまずは音楽を聞いてもらう意図なのではないでしょうか。そこに、これまでとは違う音楽を鳴らすことへの、ミンPDの並々ならぬ決意を感じるのです。
だって、明らかに今の流れの(少なくともK-POPの中の)音楽とは違うことをやろうとしているし、「誰々っぽく」「何々っぽく」ない。
はっきりとしたメロディーやリフがないのに、耳に残り、また聴きたくなる。直近のガールグループの曲、IVE「LOVE DIVE」、LE SSERAFIM「Fearless」、Kep1er「Up!」などのくっきりとしたメロディーラインと、リズムとベースを強調した音作りが今のK-POPの主流だと思うけど、そことは明らかに違うもんね。(ちなみにKep1erのリフ感や展開と手数の多さは、これは日本人にウケるな…と思った。Up!サビのバックで流れるコード感がめっちゃ泣けたもん、さすがfull8loom…好きすぎる)
あと思ったのはね、近年のグループは、スタジオにでっかくセット組んで、CGもバキバキ駆使して世界観を見せるみたいな、ガッチガチに作られた感じが多かったと思うんですよね。コロナも関係してるかもですが。
それが今回NewJeansの場合、スペインロケで、スタジオではなく女の子たちの部屋や、映画館や、高速道路や、スタジアムが舞台だった。スタジオから「外に出た」んですよね。その「ウチ」と「ソト」の対比からの開放感を感じたな〜。
タイトルも手書き文字だし、作り込まれていないリアルさとラフ感、開放感や「外に出る」感じが、コロナ以降前にすすむ社会にグッとハマったポイントなのかなぁ、なんて思ったり。
I-LAND2が来年に延期されて、大型新人ガールズグループのデビューは一旦ここで落ち着くのかな?と思いますが(YGどうなるのかな)、最後にすごい波が押し寄せてきたよ…という気持ち…
「好き」から始まるクリエイティブと、ものづくりの環境としての韓国
完全に個人的な視点ですけど、やっぱりミンヒジンさんの「好き」のパワーの強さが、(非難の対象にもなってしまってるけど)完全に勝利したんだと思うんですよね。
私はミンさんがSMエンタ時代にディレクションしてきたSHINeeとf(x)に完全にハマってた人間です。彼女の最高傑作は、SHINeeの「Romeo」とf(x)の「NU ABO」だと思ってる。
自分がK-POPにハマった理由を掘り下げて考えると、この完璧なクリエイティブと世界観に完全に魅了されたことが、大きな要因の一つで。音楽、衣装、ダンス、CDジャケット、ポスターやグッズ、全部が洗練されていてめちゃめちゃおしゃれだった。日本と全然違う感性。そこにグッときたんですよね。
「アイドル」の概念を根本から変えてくれたんです。アイドルは最高のファッションアイコンで、時代をリードするアーティストなんだなって。その裏側を作り上げていたミン・ヒジンさんという方にもすごく興味が湧いたし、ミンさんがその後のK-POPのクリエイティブに大きな影響を与えたことは間違いないし。
ただ、ミンさん特有のこの感性は、当時主流だったコンセプトとはかけ離れてたんだと推測します。SHINeeが出てくるまでは、韓国では男性がカラースキニージーンズを履くこともなかったって聞くし。同時代の人気グループは2PMとかで、とても男らしいスタイルだったしね。
コンセプトメイキングの完璧さだけじゃなく、全く新しいカルチャーを世に示したという意味でも非常に革新的だった。新しい価値観を韓国文化に吹き込んだ、立役者でもあるんだと思うんです。(それを採用したSMエンタの慧眼もすごい)
だから、今世間で言われてることとかも難しいなーと思いつつ、彼女がここまで自分の世界観を守りきれたこともすごいな、と思うんですよ、一クリエイターとして。こんなにマーケティングだとか、それこそSNSだとかで情報があふれている世界で、今めっちゃ難しいことの一つって「自分はこれが好き」って、誰に何を言われずとも一人で守りきる感覚だと思うから。
ともすれば、見たことある感じ、流行な感じ、リバイバルな感じ、そのどれになってもおかしくないわけですよね。もっと突っ込めば、「今のZ世代にはこういうものが流行ってて…」みたいな、市場の状況に左右された「何がやりたかったの?」というスタイリングになる危険性だってある。
それを、流行も、リバイバルも、うまく織り交ぜながら(今回はY2Kっぽさも取り入れつつ)「さすがミン・ヒジンだ!」と言われるコンセプトに持っていく。これ、土台というかもっと深い根っこに、「これが好き!何を言われようとも好き!!!」という強い気持ちがあって実現することなんだと思うんです。(その感性に全面的に任せたHYBEもすごい)
クリエイティブがいとも簡単に、政治や忖度に飲み込まれる様を、クリエイターとしては結構よく目にしているわけです。それがもっとも悪い形で現れたのが、あの東京オリンピック開閉会式だった。
最近ニュースが騒がしくなって、改めてあの開閉会式のことを考えたりしてたんですよ。そんな中で、こうやってクリエイターを尊重したものづくりが実現できる環境が韓国にあることは、正直うらやましいなと思います。アーティスト志望の若者の流出が問題になってるけど、映画界でも起こってるみたいだし、これからクリエイター界隈でももしかしたら同じことが起こるのでは、とまで考えてしまいますね…
クリエイターの「好き」から、ちょっとずつ時代の風が変わっていくって、こういうことなんだなと。f(x)だって最初は奇抜だな〜と思われてたかもしれないけど、それが確実に日本のファッション好きな女の子たちに刺さりましたからね。Electric Shockの感じとかほんとかわいかったしみんな着てたよな〜。